PRO-VISIONⅡ和訳 READING 2

READING 2  The Sense of Wonder
リーディング2  センス・オブ・ワンダー

P.157

1

甥のロジャーが生後20ヶ月ほどだったある嵐の夜、私は彼を毛布にくるみ、雨の降る暗闇の中ビーチへと降りて
行った。

どこかも見えない場所のちょうど端では、大きな波が大きな音を立て、ぼんやりと白いものはとどろき、私たちに向かっ
てたくさんの泡を投げかけてきた。

私たちは純粋な喜びで一緒に笑った‐オケアヌスの激情に初めてふれる赤ちゃんの彼と、生涯の半分を愛する海と
過ごしてきた私。

しかし、その唸りをあげる巨大な海と周囲の激しい夜に対する同じぞっとする反応を私たちは感じたのだと思う。

この特定の夜の冒険は人生に関するものだった、なぜなら、昼間ビーチにいるのをロジャーがちらっと見かけた砂色
の足の速いユウレイガニを私たちが探していたのだった。

しかし、そのカニは主に夜行性で、夜ビーチを歩き回っていないときには、波打ち際近くに小さな穴を作って隠れ、海
が運んできてくれるものを見つめ、待っているようだった。

私にとって、海の非常な力に立ち向かう、孤独ではかないこの小さな生物の姿には、心を動かす哲学的な含みがあり、
私はロジャーと自分が同じような感情で反応したと言い張ることはしない。

しかし、風の歌も暗闇も波のとどろきも怖がることのない、世界の自然のものに対する彼の幼い受け入れを見るのは良
いことだった。

この冒険の分かち合いには、嵐も穏やかな日も、夜も昼も含まれ、教えることではなく一緒に楽しむことに基づいてい
る。

【WORDS】

tumult 〔名詞〕 激情
Oceanus 〔固有名詞〕 オケアヌス
half a lifetime of ~ 〔熟語〕 半生(分)の
spine-tingling 〔形容詞〕 ぞっとする
roaring 〔形容詞〕  唸りをあげる
ghost crab 〔名詞〕   ユウレイガニ
nocturnal 〔形容詞〕  夜行性の
fragile 〔形容詞〕  壊れやすい
overtone 〔名詞〕   含み

P.158

2

子供の世界は不思議と興奮に満ちていて、新鮮で新しく、美しい。

私たちの大半が大人へと成長する中で、私たちの周囲で何が美しく、畏敬の念を起こさせるかというこの本能が鈍り、
失ってしまうことさえあるということは残念である。

もし、全ての子供たちを守る善良な妖精に対する特別な影響力が私にあったとしたら、全ての子供たちに一生消える
ことのないセンス・オブ・ワンダーを授けて欲しいとぜひお願いしたい。

また、それが何年も後の避けられない退屈さと幻滅に対する有効な解毒剤として作用することも私は願う。

その退屈さと幻滅は私たちの力の自然な源から遠ざかることによって一般的にもたらされる。

私は、「知る」ことは「感じる」ことの半分も大切ではないと心から信じている。

もし事実が後に知識と知恵を生み出す種ならば、感情や感覚はその種が育たねばならない肥沃な土なのだ。

子供時代の初期は、その土の準備をするときなのだ。

美しいものへの感覚、新しいものや知らないものへの興奮、思いやりの気持ち、同情、賞賛や愛情といった感情が一度
目覚めさせられると、私たちは自分たちの感情的な反応の対象についての知識を求めるようになる。

一度見つけると、それは永久的な意味を持つ。

呼吸する準備の出来ていない事実をただ受け入れるよりも、知りたいと思うような道を切り開くほうが大切なのである。

自然を探検することは、周囲にある全てのものに対して敏感になるというだけでなく、受容力を得るということでもある。

それは休止状態の感覚の回路を開き、目、耳、鼻の穴、そして指先の使い方を再び学ぶということなのである。

【WORDS】

awe-inspiring 〔名詞〕  畏敬の念を起こさせる
indestructible 〔形容詞〕 不滅の
antidote 〔名詞〕  解毒剤
disenchantment 〔名詞〕  幻滅
the alienation from ~ 〔熟語〕  ~から遠ざかることにより
fertile 〔形容詞〕 肥沃な
a diet of ~ 〔熟語〕  普通の
nostril 〔名詞〕  鼻腔
dormant 〔形容詞〕 休止している

P.159

どこにいても空を見上げることは出来る‐夜明けやたそがれの美しさ、流れる雲、夜の星。

それが森を通る雄大な声であろうと、家のひさしの周りのコーラスであろうと、風の声を聞くことは出来、そうすることで
考えの不思議な解法が得られる。

また顔に雨を感じ、海から空、そして地上へというその長い旅について考えることが出来る。

あなたが都会に住んでいるとしても、鳥たちの神秘的な移動や季節の変化を目にすることの出来る場所を見つけられ
るだろう。

もし、それが台所の窓辺の植木鉢に植えられた一粒の種でも、成長する種の神秘についてあれこれ考えることが
出来る。

私たちの大半にとって、私たちの世界に関する知識は主として視覚によって得られるものだが、私たちはとてもぼんや
りと見ているため、自然からの貴重なメッセージにめったに気付くことはない。

現実的なやり方で気付かれていない美しさに対する目を開くための最も確実な方法は、「もしこれまでこれを見たことが
なかったとしたら?もし二度とこれを見ることがないと知っていたとしたら?」と自問することだと私は考える。

【WORDS】

majestic 〔形容詞〕 雄大な
eave 〔名詞〕  ひさし
migration 〔名詞〕  移動
unseeing 〔形容詞〕 目の見えない

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